
こんにちは、小田急相模原駅前の個別指導塾「くばと塾」です。
今回は、「[データで見る子どもの学習習慣]中1の2学期に点数が半分になるのは、サボったからではない」ということについて書きます。
英語を苦手と感じ始める時期、最も多いのは「中1の後半」
生徒1学期の期末テストは英語も数学も80点台だったのに、2学期は40点台…。今回のテストがたまたま難しかっただけだよね?



残念ながら、たまたまではありません。この時期に点数が大きく下がるのには、はっきりした理由があります。
ベネッセ教育総合研究所は、同じ子どもたちを小6・中1・中3と追いかける継続調査を行っています。
そのうち2018年3〜4月に実施された「中3生の英語学習に関する調査」(全国の中学3年生1,003名)では、英語を「苦手」と答えた生徒に、いつ頃から苦手だと感じるようになったかをたずねています。
回答したのは、英語を「やや苦手」「とても苦手」と答えた486名です。


| 苦手と感じ始めた時期 | 割合 |
|---|---|
| 中学校に入学する前 | 14.0% |
| 中1の前半 | 20.0% |
| 中1の後半 | 23.3% |
| 中2の前半 | 21.2% |
| 中2の後半 | 10.7% |
| 中3の前半 | 6.4% |
| 中3の後半 | 4.3% |
単独でもっとも多いのが、「中1の後半」の23.3%です。
そして「中1の前半」と合わせると、中学1年生の1年間だけで43.3%。英語が苦手な子の4割以上が、中1のうちに苦手になっているということです。
「英語でつまずくのは中3の受験期」と思われがちですが、データが示しているのは正反対です。
中3の前半・後半で苦手になったという子は、合わせてもわずか10.7%しかいません。
勝負は、中1の後半──つまり2学期以降にほぼ決まっています。
なお同じ調査では、中3生の48.4%が英語を「苦手」と答えています。約半数です。



1学期はあんなに順調だったのに、なぜ2学期になった途端に崩れるのかしら…。
1学期は「計算」、2学期は「考える力」──テストが測るものが変わる



でも計算はちゃんとできるし、単語だって書けるよ。勉強してないわけじゃないんだけどな。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。
2学期のテストは、1学期のテストと「測っているもの」が違います。
中学校学習指導要領で定められている中学1年生の数学の内容を、領域ごとに並べてみます。
- 数と式:正負の数/文字を用いた式/一元一次方程式
- 図形:平面図形/空間図形
- 関数:比例と反比例
- データの活用:データの分布/確率の基礎
多くの中学校で、1学期の定期テスト範囲になるのは、この中の「数と式」の計算部分だけです。
正負の数、文字式、そして方程式も「解くだけ」。
つまり1学期のテストは、手順を覚えて、その通りに計算できるかどうかを測っています。
ところが2学期に入ると、方程式の文章題が始まり、比例・反比例、平面図形、空間図形と続きます。
ここで問われるのは、手順ではありません。
問題文の状況を読み取って、自分で式を立て、なぜそうなるのかを説明する力です。
この差が、実際の数字にどれくらい表れるのか。文部科学省と国立教育政策研究所が中学3年生の全員を対象に実施した「令和7年度 全国学力・学習状況調査」の結果を見てください。


- 知識・技能を問う問題の平均正答率:54.8%
- 思考・判断・表現を問う問題の平均正答率:39.7%
その差、15.1ポイント。
問題の形式で見ても、選択式54.4%・短答式52.5%に対して、記述式は40.2%です。
「覚えて計算する」問題は5割台取れるのに、「考えて説明する」問題は4割を切る。
1学期のテストが前者中心で、2学期のテストに後者が入ってくるのですから、同じ勉強量でも点数が下がるのは当然なのです。
ここで、もう一つ正直にお伝えしておきたいデータがあります。
同じ調査を領域別に見ると、数と式44.1%、図形47.0%、関数48.8%、データの活用59.0%となっており、実は「数と式」がいちばん低いのです。
つまり、「図形や関数という単元だから難しい」わけではありません。
同じ単元でも、「計算するだけ」なのか「考えて説明する」のかで、正答率はまったく変わる。
境目は単元ではなく、問われ方にあります。
だからこそ、単元を先取りするだけでは対策になりません。
そして、英語も事情はまったく同じです。
2021年度から全面実施されている学習指導要領で、中学校で扱う英単語は1,200語程度から1,600〜1,800語程度に増えました。
しかも小学校で学ぶ600〜700語を身につけている前提で授業が進みます。合計すると、中学卒業までに2,200〜2,500語です。
さらに、以前は高校で扱っていた現在完了進行形や仮定法までが中学校の内容に下りてきました。
見落としてはいけないのは、単語も文法も増えたのに、英語の授業時間数そのものは変わっていないという点です。
英語教育の研究者からも、1つのセクションで扱う文法事項が以前より増え、生徒の学習負担が増しているという指摘が出ています。
中1の1学期は、be動詞と一般動詞の現在形が中心で、小学校で触れてきた貯金がまだ効きます。
しかし2学期からは、新しい文法と大量の単語が一気に押し寄せます。
「単語を書き写して覚える」「教科書を音読する」という1学期のやり方のままでは、量に追いつかなくなる。これが、中1の後半に英語が苦手になる子が最も多い理由です。
サボったから落ちたのではない ── 中1は、勉強時間がいちばん長い学年



夏休みで気が緩んで、勉強しなくなってしまったのかしら…。
多くの保護者の方がそう考えます。
筆者も20年以上、そういうご相談を数多く受けてきました。
ところが、データはもう少し複雑なことを教えてくれます。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、同じ親子約2万1千組を小1から高3まで毎年追いかける大規模なパネル調査を続けています。
その結果によると──
平日の学習時間の平均は、小学1年生から中学1年生まで、ずっと増え続けます。
ピークは中1です。
減り始めるのは中1から中2にかけて(平均8分減)で、中2生の約半数が前年より学習時間を減らしています。
つまり、中1の時点では、勉強の「量」はまだ落ちていないのです。
ではその一方で、何が起きているのか。同じ調査から、こんな数字が出ています。
- 勉強が「好き」から「嫌い」に変わった割合は、小6生→中1生が19.2%で全学年中もっとも高い(次が中1生→中2生の17.4%)
- 「勉強しようという気持ちがわかない」と答える割合は、小6生から中1生にかけての上昇幅が14.8ポイントと、学年間でもっとも大きい
報告書は、この結果について「入学から間もない学年で学習意欲の低下が著しい」と指摘しています。
ここから見えてくる中1の2学期の姿は、こうです。
勉強量はまだ落ちていない。
落ち始めているのは気持ちのほうで、勉強のやり方は1学期のまま止まっている。
だから、「サボったから点数が落ちた」という説明では、この時期の下がり方は説明がつきません。
机には向かっている。ワークも一応やっている。それでも点数が半分になる。
なぜなら、1学期に通用したやり方が、2学期の内容にはもう効かないからです。
そしてこの時期は、勉強以外の環境も大きく変わります。
文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から、学年別の不登校児童生徒数を見てください。


小学6年生の38,080人に対し、中学1年生は58,736人。1.54倍に跳ね上がります。
小学校では学年が上がるにつれてなだらかに増えていたものが、中学校に入った瞬間に段差ができる。学習面だけでなく、生活そのものが大きく変わる時期であることが分かります。
同じ調査で、中学校が不登校の生徒について把握した事実として最も多かったのは「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で30.1%。次いで「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」15.7%、「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題」14.1%と続きます。
部活の先輩や友人から「勉強なんてしてないわ」という空気を受け取って、「勉強できないほうがかっこいい」と思い込んでしまう子は、実際に少なくありません。
ただし、この価値観そのものを直接測った統計はありません。
ここは筆者が20年以上、現場で見てきた実感としてお伝えしています。
とはいえ、「やる気が出ない」が最多という数字は、この時期の子どもが周囲の空気に強く影響されるということと、決して矛盾しません。
もう一つ、データの読み方について正直に申し上げておきます。
定期テストは学校ごとに作られるため、「中1の2学期に平均点が何点下がるか」という全国統計は存在しません。
ここまでご紹介したデータは、点数が半分になることを証明するものではなく、なぜ下がるのかを説明するものです。
この点は誤解のないようにお願いします。
いちばん危ないのは、1学期に数学・英語で80点を取れなかったお子様です



1学期は数学75点、英語70点くらいだったわ。平均は超えてるし、これまで通りやってれば2学期も同じくらい取れるでしょ。



実は、そう考えているお子様が、いちばん危険です。
ここは、はっきり申し上げます。
1学期の定期テストで、数学・英語が80点未満だったお子様は、本当に油断してはいけません。
理由は単純です。
すでに見たとおり、1学期のテストは計算中心で、手順を覚えて反復すれば点が取れる内容です。
その1学期のテストで80点に届かなかったということは、内容が難しくて理解できなかったからではなく、単純に演習量が足りていない可能性が高いのです。
先ほど「中1は勉強時間がいちばん長い学年」というデータをご紹介しましたが、あれはあくまで全体の平均です。
1学期に数学・英語で80点を取れなかったお子様は、その平均を下回っている可能性が高い。
そして、いちばん取りやすい1学期のテストで足りていなかった演習量が、内容が本格化する2学期に足りるはずがありません。
筆者が20年以上学習塾で指導してきて、2学期にもっとも大きく点数を落とすのは、この層のお子様たちです。
なぜなら、本人もご家庭も「1学期にそれなりに取れたのだから、これまで通りやっていれば大丈夫」と考えてしまうからです。
中学校の授業スピードは、小学校の約3倍
もう一つ、多くのご家庭が気づいていないことがあります。
中学校の授業が進むスピードは、小学校のときの約3倍です。
これは統計として公表された数字ではなく、筆者が現場で20年以上、教科書と生徒のノートを見比べてきた実感です。
ただ、先ほどご紹介した「単語が1,200語から1,600〜1,800語に増えたのに、授業時間数は変わっていない」という事実からも、1回の授業で扱う量が増えていることは想像していただけると思います。
小学校では、1つの単元をゆっくり、繰り返し確認しながら進みます。
中学校ではそうはいきません。
1回の授業で新しい内容が入り、次の授業では次に進む。
復習をする時間は、授業の中には用意されていません。
つまり、授業の外で自分で復習しない限り、置いていかれる仕組みになっています。
このスピードの変化に気づかないまま、「これまで通り」を続けてしまうと、取り返しのつかないことになります。
神奈川県の中1生にとって、入試は来年から始まっています
そしてここが、神奈川県にお住まいの方に特にお伝えしたい点です。
神奈川県の公立高校入試では、中学2年生の学年末の成績が、そのまま入試の点数として加算されます。
内申点(調査書点)は135点満点で、その内訳は次のとおりです。
- 中2の学年末:9教科×5段階 = 45点
- 中3:9教科×5段階×2倍 = 90点
中1の成績は直接は含まれませんが、中2の1年分が満点の3分の1を占めているのです。
私立高校でも、書類選考や推薦の基準に中2からの成績を用いる学校があります。
つまり、今の中1生にとって、入試はもう来年から始まっていると言っても過言ではありません。
ここで問題になるのが、成績の「引きずり」です。
2学期の定期テストで大きく点数を落として、通知表の数字まで下がってしまったとします。
これを3学期に取り返すのは、率直に言って至難の業です。
3学期は期間が短く、テストは学年末の1回だけ。
しかも範囲には2学期の内容が積み上がっています。
2学期につまずいた土台のままでは、上げようがありません。
そして3学期で回復できなければ、中2の1学期の成績も、そこに引きずられる形で始まります。
いきなり成績を上げることはできないのです。
実際、先ほどのパネル調査でも、学習時間が減り始めるのは中1から中2にかけてでした。
中1の2学期でつまずき、3学期で戻せず、そのまま学習量まで落ち始める。
この流れに入ってしまうと、気づいたときには入試に加算される中2の内申が、低いところから始まってしまうのです。
だからこそ、手を打つのは中2の春ではありません。
中1の2学期、いまです。
そしてここには、前向きなメッセージもあります。
中1の2学期は、まだ勉強量が保たれている時期です。
量まで落ち始める中2に比べれば、やり方を整えるだけで立て直せる可能性がはるかに高い。
まだ十分に間に合います。
くばと塾では、進学塾として当たり前のことを徹底します
では、中1生が2学期の定期テストで点数を半減させないために、何をすればいいのか。
答えは、特別なことではありません。
成績を向上させるために当たり前にやるべきことを、当たり前に徹底することです。
くばと塾では、この時期の中1生に対して、次の3つを柱にしています。
① 家庭学習に必要な演習量を、宿題として具体的に出す
「家で勉強しておいてね」では、量は確保できません。
2学期の内容を身につけるために必要な演習量を、こちらで見積もって宿題として出し、やり切ったかどうかを毎回確認します。
1学期に80点未満だったお子さんに足りていないのは、たいてい理解力ではなく量です。
だから、量を管理するところから始めます。
② 学校より1ヶ月先取りで予習していく
学校の授業と同じペースで進めていては、定期テスト前に対策の時間が取れません。
くばと塾では学校より約1ヶ月先の内容を先に進めます。
こうしておけば、テスト2週間前には新しい内容を教える必要がなくなり、その期間をまるごと演習と弱点補強に充てられます。
先取りは「早く進むこと」が目的ではなく、テスト前にまとまった対策時間を作るための手段です。
③ 1学期の計算内容も、宿題で定期的に練習させる
2学期の内容だけをやっていては足りません。
方程式の文章題も、比例・反比例も、図形の面積・体積も、最後は正負の数と文字式の計算で答えを出します。
計算が雑なままだと、考え方が合っているのに答えが合わない、という最悪の失点が起こります。
そこで、2学期の内容を進めながら、1学期の計算問題を宿題に混ぜ込んで、定期的に手を動かし続けてもらいます。
ここまでのデータと対策をまとめます。
- 英語を苦手と感じ始める時期は「中1の後半」が最多(23.3%)。中1だけで4割を超える
- 1学期は「知識・技能」、2学期からは「思考・判断・表現」。全国調査ではこの差が15.1ポイント
- 境目は単元ではなく、問われ方。先取りだけでは対策にならない
- 中1はまだ学習時間がいちばん長い学年。落ちているのは量ではなく、やり方と気持ち
- いちばん危ないのは、1学期に数学・英語で80点未満だったお子さん。演習量が足りていない可能性が高い
- 神奈川県の入試では中2の学年末評定が135点満点のうち45点として加算される。中1生にとって入試は来年から
- 手を打つなら、中2の春ではなく中1の2学期
ご家庭で取り組んでいただきたいのは、次のようなことです。
- 2学期のテストの点数だけを見て叱らない(1学期とは別物のテストです)
- ただし、1学期に80点未満だった科目は「大丈夫」と考えない
- 学校のワークを「解いた」で終わらせず、間違えた問題を解き直したかを確認する
- 数学は、1学期の計算問題を毎日少しずつ続ける
- 英語は毎日10分でも、音読と単語のチェックを続ける
- 「テスト前だけ頑張る」から「毎日少しずつ」へ切り替える



1学期に70点台だったから安心してたけど、あれは一番簡単なテストだったんだね。
演習量が足りてなかっただけなら、増やせば戻せるってことか!



中2の成績がもう入試に入るなんて知らなかった。今のうちにやり方を変えておかないと、まずいってことだよね。
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参考資料
- ベネッセ教育総合研究所「中3生の英語学習に関する調査〈2015-2018継続調査〉」(2018年3〜4月実施)
- 文部科学省・国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査」
- 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト「子どもの生活と学びに関する親子調査」
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」数学編・外国語編
- 神奈川県教育委員会「令和8年度 神奈川県公立高等学校入学者選抜及び特色検査の概要」





