夏休みの有効な学習方法(中3・高3受験生) その3

今回は

③2・3学期の予習を終わらせる。

についてです。

目次

入試範囲で最も理解度が低いのは「まだ学習していない単元」

私立中高一貫校の進学校に通っている生徒は高3までの学習内容を高2までに学習し終えていることが多いです。

一方で、公立高校の3年生や公立中学の3年生はまだ2・3学期に学習する内容が残っていることと思います。

そうした高3・中3受験生がこの夏休みに勉強すべきことは次のうちどちらでしょうか。

1)1年~3年の1学期までに学習した内容の総復習をする。
2)3年生の2・3学期の予習をする。

多くの方が1)と答えるかと思います。

特に勉強が苦手な生徒は「これまで勉強した内容が理解できていないのに予習なんてしても意味がない」と思うかもしれません。

確かに英語や数学は知識の積み重ねの教科であるため、新しい単元を学習するときに関連する前の単元を理解しておく必要があるものもあります。

そうした場合は必要最低限復習をするとして、受験生が夏にすべきことは、

2) 3年生の2・3学期の予習をする。

です。

受験に向けて勉強するときに「自分が理解できていないところから勉強する」ことを考えると、入試範囲で最も理解度が低いのは「まだ学習していない単元」ということになります。

1年~3年の1学期までに学習した内容で苦手意識のある単元があったとしても、その単元は学校で授業を受け、定期テスト前に勉強し、塾などでも演習を行っているはずです。

だからまだ学習していない単元と比べると、実際は圧倒的に練習しています。

「苦手なところから勉強する」というのであれば、その単元は2・3学期の学習内容になりますので、やはり2・3学期の予習を最優先すべきです。

2・3学期の予習を終えないことのデメリット

もしこの夏に2・3学期の予習を終えないとどうなるでしょうか。

中3生にとって2学期は内申の決定する最後の定期テストがあります。

非常に大切なテストですから、定期テスト前3週間~1ヶ月はこの定期テスト範囲の勉強に集中するはずです。

2学期の期末テストが11月中旬〜下旬に終わり、

生徒

さあ入試対策だ!

と思ってもまだ未習単元があるため、その単元の予習に取りかからなければ過去問を解くことすらできません。

5教科分の未習単元を予習し終える頃には正月も過ぎて入試まで残り1ヶ月を切っている、なんていうのはザラにあります。

今の公立高校入試は当日の学力検査の配点が大きく、過去問を解き込んだり入試対策演習をどれだけこなしたかで合否が分かれます。

大学の一般入試においては当日の学力検査で100%合否が決まりますから、高校受験の比にならないくらい入試対策・過去問演習が大切になります。

こうしたことを考えると2・3学期の復習を後回しにして、この夏これまでの復習だけをするのはデメリットが大きすぎます。

この夏、2・3学期の予習を終えておくと…

一方、夏の間に2・3学期の予習を終えておくとどうでしょうか。

2学期に入り、定期テスト前の1ヶ月は定期テスト勉強をするとしても、冬休みに突入するまでに約2~3ヶ月の間、過去問演習と入試対策演習を行うことができます。

さらにいうと、2学期の定期テスト範囲も夏休みに予習しているため、最も重要なこの時期の定期テストの準備も主要5教科はある程度完了している状態です。

その結果、副教科の勉強に比重をおくことができます。

また、2学期は模試の出題範囲もほぼ入試範囲になってくる(学校の進度に完全に合わせてくれる模試なんてありません)ため、9月から過去問演習と入試対策演習をしている生徒は偏差値が上がりやすく、特に11~12月の模試で一気に成果が出てきます。

そのように充実して2学期を過ごすことができれば、冬休みにもうひと伸ばすべく、より一層過去問演習と入試対策演習に力が入ります。

他の受験生と差をつけるには…

これから受験当日まで、受験生は皆必死で勉強します。

全員が必死に取り組むわけですから、当然ですが普通に努力していては偏差値を上げることはできません。

それどころか、普通の受験生並みの努力を怠れば偏差値は下がっていきます。

適切な学習時間(1日10~12時間)を確保し、適切な休息日(5日~1週間に1日)を設けて、適切な内容(2・3学期の予習を最優先)を勉強することは受験生なら普通の努力です。

その上で他の受験生と差をつけたいのであれば、中身を濃くするしかありません。

10問演習して4問間違えたら、その4問は放ったらかしにせず、正しい解き方を徹底的に頭に入れていく。

間違えた4問を2問理解するか4問とも理解してしまうか、それとも全て放ったらかしにして次に取り掛かるのかは、生徒一人ひとりの意識次第で決まるものです。

勉強して成績が上がるかどうかというのは、「できなかった」問題を「できる」ようにすること、この一点をどれだけ多く作れるかで決まります。

「間違えた問題はそのままにしない」というのは一見当たり前のことですが、この当たり前のことがやれる生徒はごく少数です。

そして、この「ごく少数の生徒」が2学期以降偏差値を上げていきます。

3回に渡って書いているうちに夏休みに入ってしまいました(申し訳ありません)が、「夏休みの有効な学習方法」をぜひ参考にして勉強していただけると何よりです。

目次