教材の良し悪しは学習効果を左右する

今回は、

塾で使用する教材

について書きたいと思います。

塾講師や家庭教師が学習指導を行う際、学習効果を大きく左右するものとして

生徒がどんな教材を持っているか

が挙げられます。

どんなカリスマ塾講師やプロ家庭教師でも、良い教材がなければ成績を上げるための正しい学習指導を行うことはできません。

教える側である講師からすると、生徒にどんな教材を用意してもらうかというところから、すでに学習指導は始まっているといっても過言ではありません。

目次

解答解説のない問題集は使いものにならない

よくある事例として、解答解説を紛失してしまったり学校の先生が保管していて、解答解説がない問題集を生徒が持参し、その問題集を使用して指導するようにご要望いただく場合があります。

しかし、解答解説がない問題集を使用して演習を行っても、正しい解答や解法が分からないため、問題を解くだけ時間の無駄です。

宿題でその問題集の問題を解いても、どれが正解でどれが不正解なのか分からない。

となると、

どこをどう復習していいか分からない。

これではいけません。

「間違えた問題を間違えないようにする」ということが学力を上げる唯一の方法である

のに、これでは学力の上げようがないのです。

では塾の授業で使用するのはどうでしょうか。

生徒

塾の先生なら、解答なんかなくても正しい答えが分かるはず!

と思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに塾講師であれば専門科目はほぼ完璧に正解が分かるかもしれませんが、塾講師も人間ですから、体調や状況によっては間違えることもたまにはあります。

この、

「間違えることもたまにある」

という段階で、解答として使うには信頼性の低すぎるものになってしまいます。

例えば、

「たまに間違っている」解答解説

があるとして、この解答解説を使いたいと思う方はいるでしょうか。

おそらく「そんないい加減な解答使えない」と思われるでしょう。

塾の先生がどれだけ優秀であったとしても、解答解説の代わりにはなれないのです。

学校の先生が解答解説を回収しているのは、何か理由があります。

その問題集は学校の先生の指示通りに使用して、

普段の勉強で使用する問題集は解答解説付きのものを別に準備する

ことが得策です。

解答解説をご自身で紛失した

という場合は、次回から失くさないよう気をつけて、

速やかに新しい問題集を購入する

ことが大切です。

解説・解法が詳しく書かれている問題集を選ぶ

「解答解説がきちんとある」問題集であることの次に大事なことは、

「解説・解法が詳しく書かれている」

ということです。

「解説・解法が詳しく書かれている」問題集の例として、

高校数学の「チャート式」シリーズ(数研出版)

が挙げられます。

この「チャート式」シリーズは、例題や練習問題が載っている本体と同じくらいの厚みの解答解説が付いています。

そこには、全ての問題の詳細な解法と解説が記載されています。

数学な苦手な生徒や自立学習で数学の予習を進めたい生徒には、

白色の「チャート式」(白チャート)

を使用して勉強することをおすすめします。

レベル別の問題が載っているか

次に大事な要素として、

「基本・標準・発展レベルの問題が載っている」

ことが挙げられます。

新しい単元を学習する際、基本問題しか載っていないものや入試問題など発展レベルの問題ばかり記載されている問題集を使用すると、自分がどのレベルの問題まで解けるようになったのかを知ることができません。

基本問題が解けたら、標準問題を解いてみる、それができたら発展問題に挑戦する

という具合に、各単元で問題のレベルを徐々に上げていくことがより深く理解するために大切なプロセスなのです。

類題がたくさん載っている問題集をプラスする

これまでに挙げた「解説・解法が詳しく書かれている問題集」や「レベル別の問題が載っている問題集」にも欠点があります。

それは、

類題があまり載っていない

ということです。

多くの「解説・解法が詳しく書かれている問題集」や「レベル別の問題が載っている問題集」は、少ない問題を詳しく解説していたり、できるだけ多様なパターンの問題を少しずつ載せてどうにか1冊の問題集にまとめています。

そのため、

生徒

自分が間違えたパターンの問題と同じような問題を数多く練習したいわ。

と思ったときに、その1冊の問題集ではカバーできないケースが出てきます。

そうしたときに備えて、

メインの問題集とは別に「類題がたくさん載っている問題集」を準備する

ということが大切なのです。

基本的な理解がしたければ、

基本問題〜標準問題が数多く載っている問題集

を使用する。

入試レベルまで理解したければ、

標準問題〜入試問題が数多く載っている問題集

を使う。

という風に、各々の目的に合わせてチョイスするといいかと思います。

「定期テスト対策用問題集」と「入試対策用問題集」は別物

これは特に中学生に当てはまります。

定期テスト対策を行う場合、中学校が採択している教科書会社の教科書によって、扱われている内容が異なるため、その教科書に準拠した問題集で勉強する必要があります。

しかし、入試問題は近年難化の傾向にあり、教科書レベルの問題を解くだけでは入試対策が不十分であるため、教科書準拠の問題集で入試対策をまかなうことはできません。

入試対策には入試レベルの問題に対応した問題集を使う必要があるのです。

それぞれの対策をできるだけ効果的に行うため、

「定期テスト対策用問題集」と「入試対策用問題集」は別物であることを理解し、それぞれ準備する

ことが大切です。

目的に合わせた複数の良質な問題集を組み合わせる

これまでに書いたことを踏まえてまとめると、教材を購入する上で大切なことは、

目的に合わせた複数の良質な問題集を組み合わせる

ということです。

それぞれの問題集には長所があり、同時に弱点があります。

それぞれの弱点を補い合うために複数の問題集を組み合わせることで、はじめて効果的に勉強することができるようになります。

ドラクエやFFなどをプレイする際、「剣」だけを装備したり「鎧」だけを身につけて冒険を進める人はいないはずです。

その時購入できる最強の「剣」・「盾」・「鎧」・「籠手」・「兜」・「アクセサリー」の全てを装備させ、敵やボスを倒しに行くでしょう。

勉強も、教材という「武器」や「防具」をしっかり準備して取り組むことが大事です。

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